イイタイダケ

言いたいだけです。

16類型性格診断を受けてみたら「INFJ-提唱者」でした

ユングのタイプ論を調べていて16類型性格診断に興味を持ちました。実は以前にも偶然見つけて診断したことがあり、そのときの結果は「INFJ-提唱者」でした。

16類型性格診断についての解説サイトはたくさんありますので、ここでは私自身の診断結果にのみ焦点を当てたいと思います。また、すべてインターネットから情報を取得しております。専門の書籍などは読んでおりません。そのため間違った記述などありましたら、ご指摘いただければと思います。

 

16類型性格診断

16類型性格診断とは

16タイプ性格診断など呼び名は様々です。「自分のことをどういう人間だと思っているのか」を判別するテストです。質問に回答することで16種類に分類されます。

似たものにMBTIというものもありますが厳密にいうと違うらしいので、ここでは取り上げません。

ja.wikipedia.org

 

ユングのタイプ論との関係

これは私の個人的な見解です。16類型性格診断では内向型・外向型のようにユングのタイプ論から用語を借りていますが、ユング精神分析とは別物と考えた方がいいと思います。なぜならユング精神分析は患者と医者が一緒に行うものであり、自分で診断を下すものではないからです。さらにユングはタイプ論で

まず、タイプを分けることは、ある個人の人格に接近するための方向づけを与える座標軸の設定であり、個人を分類するための分類箱を設定するものではないと強調したい。

ユング心理学入門』P.38

つまりそのような傾向がある、程度に留めることが大切だとしています。性格を、生来から変わらないものとする考え方はユングの思想と相いれないと思います。

aoio-o.hateblo.jp

 

 

 

無料性格診断テスト | 16Personalitiesを利用しました

16類型性格診断で検索すると一番最初に出てくるWEBページを利用しました。おそらく一番有名な診断サービスだと思います。

www.16personalities.com

 

私のタイプについて

結果は「INFJ-提唱者」でした

前回も「INFJ-提唱者」でした。時間をおいて診断を受けると変わるという人もいるようで、その場合、性格は変わらないというテストの主張とはずれてしまいますね。しかし私の場合は同じでした。

実は、初めて受けたときにちょっと納得がいかなかったんですよ。提唱者という呼び名にしっくりこなかったことと、何となく自分は「INTJ-建築家」的な性格ではないかと思っていたからです。しかし細かい説明を読むと確かに「INTJ-建築家」よりは「INFJ-提唱者」の方が自分には当てはまるなあと納得しました。

www.16personalities.com

www.16personalities.com

 

論理(T)と道理(F)について

実際の内訳を見てみると、内向(I)・直感(N)・計画(J)に関してはかなり偏っている一方、論理(T)と道理(F)はほぼ真ん中という結果が出ました。

INFJ

 

思い返せば、自分は論理的に考えているつもりでも、最終的な結論は自分の感情を優先していました。基本的な性格は道理を重んじるのに対して、幼いころから論理的であることを意識して成長してきたのでこのような結果になったのだと思います。

aoio-o.hateblo.jp

 

自分は「INFJ-提唱者」だと納得した理由

「INFJ-提唱者」に関してはなんだかとても立派な人間のようなことが書かれているので、最初は自分に当てはまるとは思えませんでした。「理想主義者で道徳感覚があり」「決断力と強い意志を持って」「論理や事実一辺倒ではなく、暖かく思いやりのある言葉で、相手に伝わるように話すことができます」なんて我が身のことには思えませんでした。しかしよく読んでみると分かりすぎる点がたくさんありました。

提唱者型の人達は、他人の感情を非常に大切にし、その好意に対する見返りを期待していますが、時にはそれが数日間そっとしておいてあげることを意味します。

“提唱者”型の性格 (INFJ) | 16Personalities

あなたのために出来るだけのことはするから、私のことは放っておいて欲しいのといつも思っています。当たってる! また「INFJ-提唱者」は外向的な性格と間違われることが多いそうで、思い当たることがあります。

また趣味に関してはこのような記述を見つけました。

文学、美術、音楽、映画、演劇、オペラ、その他の芸術については、幅広く関心を寄せます。 そこに、人々の深い感性表現を読み取って感動します。

INFJの趣味 - 16タイプの性格分類まとめ Wiki*

多くの本を読み、知識を吸収しようとします。 物語も楽しみますが、 どちらかというと、ノンフィクションやジャーナリズムなどに惹かれます。 ミステリー小説も良いでしょう。 少々、複雑で考えさせられることの方が読み応えを感じることができます。

INFJの趣味 - 16タイプの性格分類まとめ Wiki*

このWEBページに書かれていることはほぼすべて当たっているんですよね。もう認めるしかないなあと観念したのでした。

あとどこかで、「INFJ-提唱者」は書く文章が長いと見たことがあって、確かに! と笑ってしまいました。

 

他の診断サイトも利用してみました。

他にも診断が受けられるWEBサイトがあるので、利用してみました。「提唱者」などの呼び方はサイトによって変わります。手当たり次第受けられるだけ受けてみたのですが、すべてINFJになります。つまり自分が自分をINFJ的な性格だと認知しているということになりますね。個人的には辛口性格診断16の解説が特に参考になるなあと思いました。

 
motivation-up.com

 

 

ひとつだけINTJになるWEBサイトがありました。

ただし、ひとつだけINTJになるWEBサイトがありました。気になったので日を空けてもう一度やってみたのですが、やはり同じ結果が出ました。 しかしINFJである可能性も85%と比較的高い数字で出ています。

 

 

夫に診断してもらったところ、私は「INTJ-建築家」でした

16類型性格診断はあくまで、「自分のことをどういう人間だと思っているのか」を調べるテストです。そのため、他人に見てもらったり、他人の性格を勝手に型にはめるものではありません。とはいえ好奇心から夫に頼んで私を診断してもらいました。

すると「INTJ-建築家」と出ました。先の診断でも「INTJ-建築家」にかなり近い「INFJ-提唱者」であることはわかっていたので、納得の結果です。「INTJ-建築家」的な性格が私の理想なので、外からはその通りに見えるようにふるまっていたのだと思います。 

 

「INFJ-提唱者」多すぎ問題

インターネット上でよく見かける話題として、少数派であるはずの「INFJ-提唱者」が目立つことがあげられます。「INFJ-提唱者」の人は非常に希少で、その数は全人口のわずか1%未満といわれています。

私が思うにこれは妥当なのです。なぜならインターネットで性格診断を見つけて、受けようと思って、たくさんの質問にコツコツ最後まで答えるような人は、内向(I)・直感(N)が強いのではないかと考えるからです。さらに結果が出た後で語りたいと思うことが「INFJ-提唱者」らしいのではないかと感じています。要するに性格診断を受けてかつ、WEB上で公表する人の母数に偏りがあるのではないかと思うのです。

 

分かったこと

自分はとにかく内向(I)・直感(N)・計画(J)に偏っている自認があるということですね。まあ、内向的で直感に頼っているのは知ってたし。

そして「INFJ-提唱者」の場合全人口の1%しかいないので、似た考え方をする人が少ないことを知りました。もし、「INTJ-建築家」なら2%もいる! と喜んでいたのですが、「特に女性が珍しく、全人口のたった0.8%です」とあり、余計に減ってるじゃんとがっかり。インターネット上ならともかく、現実世界で自分に似た感性の人を見つけることはかなりむずかしそうです。

 

 

他人のタイプについて

夫は「INTP-論理学者」でした

ちなみに夫自身は「INTP-論理学者」と出たそうです。これは意外で、私から見ると「ISTP-巨匠」に思えました。直感(N)と感覚(S)が違いますね。これは自分が極端に直感(N)に偏っているので、私よりは夫の方が感覚(S)を使いこなしているイメージがあるせいかな。

www.16personalities.com

 

 

私は「ISTP-巨匠」と相性がいい?

そして退職した会社の人ってどうだったかなと考えると、気が合うと思っていた人は「ISTP-巨匠」のように思われました。これは私が「ISTP-巨匠」の人と相性がよいといういう意味ではなく、好ましく思う相手の中に「ISTP-巨匠」的な特徴を見出しているからだと思います。

www.16personalities.com

 

 

辞めた会社は「ESTP-起業家」的な職場でした

前職で要求される能力は「ESTP-起業家」が得意とする分野だと思われます。外向的で、刺激に適切に反応し、論理的に考え、臨機応変に対応する必要がありました。これは「INFJ-提唱者」の特性と全く正反対! どうりでしんどいはずです。ちなみに一番生き生きと働いていた人はまさに「ESTP-起業家」的な人でした。その人とは長年の付き合いなので、仕事上ではお互いの苦手な分野を補い合うことができていました。しかし日常生活においてはまったく理解できず、異星人のようだなあと感じていました。向こうもそう思っていたことでしょう。

www.16personalities.com

 

 

「INFJ-提唱者」が「ESTP-起業家」的な仕事をするとどうなった?

私の場合まず、コミュニケーションが必要とされることで非常に疲れました。さらに刺激が多く適切に対応することに非常に苦労します。論理的に考えることは比較的得意な方だったので問題はありませんでした。しかし明らかに道理に反すること(虚偽の報告など)を強要されることがあり、とても嫌でした。そしてどれだけ完璧な計画を立てても、得意先の気まぐれや誰かのミスで総崩れになり、いつもイライラする羽目になります。

10年以上働いたので、ほとんどのことはできるようになりました。しかしストレスを感じないわけではありません。

 

 

仕事を通して自己実現

ユングの思想とは相いれないとしましたが、思い出したことがあるので引用します。

 自分のなかの劣等な部分と直面し、それを統合してゆこうとする努力が自己実現である 『ユング心理学入門』P.231

個人の素質による態度を逆転させると、はなはだしい疲労現象が現れ心の健康が害される

ユング心理学入門』P44

前職では自身の最も劣等な外向的感覚(Se)を一番強く使わないといけなかったので、強制的に自己実現へ向かう努力が必要だったわけですね。しかし自分の資質である内向的直感(Fi)とまったく逆の能力を伸ばす必要があったため、途中かなり不健全な時代があったなあと振り返って思います。

退職した理由の中に、今の仕事に関しては誰にも文句を言わせない程度に出来るようになった! と自信がついたことがあります。まさに仕事を通して自己実現を果たしていたのだなあと気がつきました。

自己実現は人生の究極の目的であると述べたが、これは一つの静止した到達点があり、それを自己実現と読んでいるというものではない。(中略)自己実現はつねに発展してやまぬ過程であり、その過程そのもの大きい人生の意義がある。
ユング心理学入門』P.228

というわけで、人生が続く限り、自己実現への道に終わりはありません。

 

「ESFJ-領事官」なあの人

前の職場で、私の見立てでは「ESFJ-領事官型」かなと思う人がいました。以下の引用は思い当たることが多すぎておどろきました。

◆以下の状況で、動揺したり嫌悪感を覚えます
・人と共有できる考えよりも自分だけの考えに興味を持ち、冷たく距離をあけようとする人に出会った時

 (中略)

◆不満を感じると、次のような行動を起こします
・「みんな仲良くなれるはずだ」と、調和を保つ事を周囲に押し付ける

ESFJ 思いやりにあふれた社交的な人 | 辛口性格診断16

この冷たく距離をあけようとする人って私のことだ。まさにこんな反応をされたことがあります。特別嫌うとかではなく、相性が悪そうだったので単に関わりたくなかっただけなのです。仕事の話しはしますし、無視をしたわけでもありません。それでも距離を取ることに相手は不信を感じたようでした。申しわけなかったなあ。

もちろんあの人が「 ESFJ-領事官」かどうかはわからないし、当てはまらない「 ESFJ-領事官」な方もいらっしゃるとは思いますが、これを知っていたら違った対処ができていたのかなとも思います。

 

16類型性格診断を受けて得られたこと

自分の性格を知る手がかりになりました。また、他の性格を読むことで、こういう人がいるんだなあと、自分と違う考え方を学ぶこともできました。私はあまり他人に興味を持たない性質なのですが、診断をきっかけにあの人はどんなタイプだろうかと考えるようになりました。もちろん一方的な決めつけはできませんが、性格診断をきっかけにその人のことをもっと知ろうと思うことができましたし、今後の人間関係のヒントになればいいなあと思っています。

レシピメモ:鳥もも肉+ナス+ズッキーニで無限のバリエーション

野菜が高い夏の時期に、比較的安定した値段で手に入るナスとズッキーニは重宝しています。鳥もも肉+ナス+ズッキーニの組み合わせで炒め合わせ、味付けを変えれば無限にバリエーションが作れることに気がつきました。ナスはしっかり油を吸わせて炒め、ズッキーニは最後に加えて食感を残すとおいしいです。

 

基本の調理

材料

  • 鳥モモ肉(事前に一口大に切ってもよいが、そのまま焼いてから切った方が楽)
  • ナス(食べやすいサイズに切る・すぐに油を絡めて調理する場合はアク抜き不要)
  • ズッキーニ(食べやすいサイズに切る)
  • 油(調理方法によって変えてください)

 

調理方法

鳥もも肉にはあらかじめ少量の砂糖をすり込んでおきます。こうすると柔らかくジューシーに仕上がります。めんどうでしたら無視しても大丈夫です。フライパンを熱し、油(調理方法によって変えます)をひいたら皮目を下にして焼き付けます。皮に焼き色がつき油が出たらひっくり返します。ナスを加えて油をしっかり絡めてからふたをします。肉に火が通ったらハサミで一口サイズに切り分け、ズッキーニを加え炒め合わせます。

 

味付けのバリエーション

和風

照り焼き風

オリーブオイルで炒め、生姜、砂糖、酒、醤油で味付け。サラダ油でもいいと思います。

 

さっぱりポン酢味

ごま油で炒め、砂糖を少しと、ポン酢で味付け。

 

味噌炒め

ごま油で炒め、砂糖、みりん、味噌で味付け。

 

洋風

トマト煮

オリーブオイルで炒め、トマト缶を加えて煮込む。タマネギやキノコ類を足してもおいしい。塩コショウで仕上げ。

味付けを濃いめにして、パスタにかけても。スープにするなら水とコンソメを足します。さらにお米を足してリゾット風にもできます。

 

中華風

オイスターソース炒め

ごま油で炒め、オイスターソースと酒で味付け。コショウで仕上げ。

 

他にも色々

上記のメモは実際に作ったことがあるレシピです。他にもバルサミコ酢を加えたり、カレー粉で炒めたり、チーズを乗せたりしてもおいしそう。マヨネーズにポン酢やしょうゆ、オイスターソースを足してもいいかも。いくらでも考えられるので、これから挑戦してみたいと思います。鳥モモ肉は鶏ムネ肉や豚肉に変えることもあります。ズッキーニはピーマンに変えるとまた違った味でおいしいです。

 

まとめて炒めると翌日楽できます

2日分の分量を炒めるところまで進め、半量を取り分ける翌日が楽です。先日は半分は照り焼き風にしてその日に食べて、残りは他の具材も加えて翌日トマト煮にしました。

 

河合隼雄の『ユング心理学入門』(2/2) 無意識と元型

今回は、ざっくりしたまとめと、私の感想が中心です。ユングとは何かを正確に知りたい方には向かない記事です。そして心理学の専門知識がないため、間違っている箇所もあるかと思います。もし誤りがあれば、ご指摘いただければと思います。

 

ユング心理学入門』再び

このまとめは2/2ですが、本書ではここからが主な取り扱い内容です。

aoio-o.hateblo.jp

 

 

 

普遍的無意識

ユングは無意識を層に分けて考え、個人的無意識と普遍的無意識とに区別します。普遍的無意識は集合体的無意識とも呼ばれます。この普遍的無意識は、世界各地に似た神話があったり、統合失調症患者が同じような妄想を抱いたりすることの根拠とされます。

バナナ型神話だとか、洪水のはなしが世界各地にあるとか、まあそういうことです。「私は神だ」という人も説明できるようです。

ja.wikipedia.org

 

元型

人間の普遍的無意識の内容の表現のなかに、共通した基本的な型を見いだすことができると考えました。ユングはそれを元型と呼びます。

代表的な元型
  • ペルソナ
  • アニマ
  • アニムス
  • 自己
  • 太母
  • 老賢者

ペルソナや影(シャドウ)は、心理学が好きな方なら知っていそうですね。ペルソナとは仮面のことで、社会に適応するためにかぶる猫のことです。違う?私もこのブログを書いているとき、働いているとき、夫と過ごすときで違う猫、もといペルソナを持っています。影は自分と正反対の人に嫌悪感を持つ、または惹かれるといった現象で認識しやすいかな。

アニマ・アニムスに関してはちょっと消化しきれていません。男性には理想の女性(アニマ)、女性には理想の男性(アニムス)があると言われても、そんなに割り切ったものにはならない気がします。これは現代とユングの時代のギャップもあるかもしれないです。タカラヅカは理想の男性ではなく、アニムスを追求していると言え……ないですね。男役は「男役」であって、男ではないから。

自己は意識と無意識とを含んだ心の全体性の中心であり、意識の中心となる自我とは異なります。

太母・老賢者は平沢進ファンにはおなじみの概念。太母は土偶です。違います。ごめんなさい。太母は母なる大地のように、土地や農作物に結びつけられることも多いですね。

 アニムスに関してはおもしろい記述がありました。

アニムスに取りつかれた女性は、「……すべきである」と意見を述べる。
ユング心理学入門』P.210

頼もしい男性の出現による未来の人生の設計などという、願望に満ちた考え(たぶんに空想的であるが、本人にとっては、一つの考えである)として生じてくる。そして、この素晴らしい考えによって、「女性も職業を持つべきである」とか、「自分の夫は一流大学出身でなければならない」とか、動かしがたい意見が形成される。このような願望に満ちた考えが強くなると、それとの比較によって、外界のあらゆるものは無価値に見えたり、つまらなくなったりしてくる。何に対しても浅薄な批判を加えているうちに、それがついには自分に向けられるようになり、自分を極端につまらなく感じたり、女であることを卑下したり、あるいは、過ぎ去ったことのみ取り上げて、「大学に行っておくべきだったのに」、「あの人と結婚しておくのだったのに」とくり返すことになる。

ユング心理学入門』P210-211

 こんな感じの人は上の世代で見たことがあるぞ。最近は減ってきている印象。

元型と妖怪?

原始人たちが森を開拓して住む所を作ったとする。そして仲間が何者かに殺されたとする。彼らはこれをなんと説明するか。結局、森の中の不可知なXのためにと考えるだろう。なんてことが元型の説明として書いてありましたが、日本人はこのような現象を妖怪と呼んだのではないでしょうか。

 

自己実現について

自己実現は人生の究極の目的であると述べたが、これは一つの静止した到達点があり、それを自己実現と読んでいるというものではない。(中略)自己実現はつねに発展してやまぬ過程であり、その過程そのもの大きい人生の意義がある。
ユング心理学入門』P.228

自分のなかの劣等な部分と直面し、それを統合してゆこうとする努力が自己実現である 『ユング心理学入門』P.231

そして四〇歳前後に、人生の後半に至るための転換期としての重要性のあることを、ユングは主張しています。これって中年の危機だね。そういえば私も中年だわ。主に仕事を通して自己実現を果たし、中年の危機をむかえて転職します。自分って単純だなあ。

 

実際の心理療法について

優秀な能力をもち、社会生活にすでに適応しているひとたちはどうであろうか。これらのひとの中には「適応しているがゆえに悩み」、「自分の正常さを耐えがたい地獄と感じるひと」がいるとユングはいう。(中略)努力の結果大いに成功し、いわば社会適応の頂点に達したときに問題が始まるのである。

ユング心理学入門』P.250

治療者としてなすべき最善の方法は、「あらゆる先入見をすて去ること」
ユング心理学入門』P250

カウンセラーを目指しているわけではありませんが、人との接し方について考えさせられる文章です。相手とちゃんと向き合えてきただろうかと自問自答しています。

 

ユング心理学入門』を学んでみて

これを読んで人間の心理がわかる……わけはありませんね。一部は批判されている説もありますし、なにより難解でした。それでもワクワクして読みやすいのは、ユングというより、河合隼雄の文章力なのかなあと思います。あと、無意識や元型は色々な創作物の元ネタになっていることも多く、知識として仕入れておきたかったので、その目的は達成しました。

もうちょっと深掘りしたいので、ユングについては他の本も読んでみたいと思っています。

Streaming+で『THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE』Program C 大千穐楽公演を観ました

三度Streaming+にお世話になりました。Program A , B に続き Program Cを視聴しました。

 

THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE

今回視聴した作品はこちらです。出演者が異なるProgram A〜Cの3パターンが予定されています。www.tohostage.com

aoio-o.hateblo.jp

aoio-o.hateblo.jp

 

 

Program C 出演者

MC以外はあいうえお順、敬称略です。

 

Program A , B との違い

MCはProgram A の井上芳雄さんが再登場。メインキャストは9名と今までで一番少なくなっています。あ、MCを入れたら10名ですね。そしてスペシャルゲストとして大地真央さんが登場されました。

 

印象に残った出演者と演目

朝夏さんは『42丁目』と『さあ、声を出せ!』がかっこよかった。

ソニンさんに期待してたんだけど、はじめアニーの『Tomorrow』であれ? って引っかかったんですよ。幼さを出そうとしたのかな、声を作っている感じで。でもその違和感は一瞬で、歌声の力強さに引き込まれました。アイドルとしての彼女はあまりよく知らないのですが、テレビで見かけて、いい子そう、でも辛そうって思っていたんです。『カレーライスの女』あたりはだいぶ大変だったんじゃないかな。事務所はちゃんと守ってあげてるの? と疑問でした。舞台という居場所を見つけられてようで、よかったなあと思います。

一路さんと瀬名さん、お二人ともエリザベート役をやるとは思わなかった。一路さんのエリザベートならトートに圧勝できそう。強い。瀬名さんと佐藤さんの『夜のボート』も素敵でした。私はタカラヅカ版の『エリザベート』しか観たことがないのですが、結構歌詞も違うんですね。そして大人な二人だからこそ出せる重みを感じました。一人の俳優が一生を演じるってかなりむずかしいですよね。役者選びを若いときに合わせるのか、年を取ってからに合わせるのかで雰囲気が変わってしまう。

 

 

ゲストの大地真央さんがかわいい

大地真央さんといえば、タカラヅカOGで、『マイ・フェア・レディ』をずっとやってた人としか知識がありませんでした。テレビで見かけてもかわいらしい方なので、ずっと娘役だと思っていたんです。あるとき男役だって気がついておどろきました。

もちろん美容にもお金や手間をかけていらっしゃると思いますが、それにしても若い! 髪はウイッグかな。髪にボリュームがあると若く見えますよね。あとは姿勢がいいところもポイントかな。

途中で着ていた、シャンパンベージュの衣装が素敵だったんです。ジャケットとドレスが一体になったような形で、シンプルでエレガントなんだけど、ちょっとキリッとした要素もあるデザインでした。ドレス、見るのは好きなんですけど、自分が着るのは興味がないんです。でもあのデザインなら着てみたいなあ。

そしてカーテンコールで幕が降りるときに、しゃがんで手を振っていらしたんですよ。それが大スターに失礼かもしれませんが、かわいいなあって改めて思いました。

 

千穐楽を迎えて

公演中止になることもなく、最後まで続いてホッとしました。これに続いて他の劇場も再開していければいいなあ。ってこれ何目線だろう。

河合隼雄の『ユング心理学入門』(1/2) 分析心理学とタイプ論

自分を知る手がかりとして、心理学の本を読んでいます。学んだことを私なりにまとめてみました。自分が興味を持った箇所に偏っているので、ユングとは何かを正確に知りたい方には向かない記事です。そして心理学の専門知識がないため、間違っている箇所もあるかと思います。もし誤りがあれば、ご指摘いただければと思います。

 

ユング心理学入門』

おそらく日本で最も有名なユング研究家、河合隼雄の本を読みました。タイトルは入門ですが、「フロイトおよびアドラーの著作には少しは目を通してくださっていることを期待している」とあります。心理学を専門的に勉強したことがない私には、かなり難しく感じられました。

 

3人の学者と、心理学

上に名前をあげた3人の心理学研究者の学説はそれぞれ

と違う名前で呼ばれています。本書はユングの分析心理学について説明しています。

 

フロイトについて

フロイトについては『図解 ヒトのココロがわかるフロイトの話』を先日読んだばかりでした。概要をさっと知ることができる本です。

フロイトは無意識という概念を提唱した人ですね。何でも性に結びつけすぎるので、どうもなじみませんでしたが、はなしとしてはおもしろかったです。

 

アドラーについて

アドラーの個人心理学には興味を持っており、何冊か読んだことがあります。入り口は『嫌われる勇気』でした。おもしろかったので、続編にあたる『幸せになる勇気』と、簡単な入門書を何冊か読みました。

さらに前から、ヴィクトール・フランクルの『夜と霧』を愛読しておりました。彼はアドラーの流れをくむ(のちに破門となる)心理学者です。先日『それでも人生にイエスと言う』を読み終わったばかりです。今、感じたことを消化中なので、また記事にまとめたいと思います。

アドラーの、「目的論」は私好みではありますが、気分が落ち込んでいる人は読まないほうがいいかもと、個人的には感じています。

 
 
 

 

 

心の現象学とは

ユングはオカルト的な扱いを受けることが多い印象です。その理由が心の現象学の誤解からくるものであることがわかりました。

われわれは処女懐胎を一つの事実として、承認するというのではなく、処女懐胎という考えが存在するという意味において、その考え心理的現実として取り上げようとするのである。このような考えが多くの人の中に存在したという現象を、心の現象として追求してゆく態度を取るのである。

ユング心理学入門』P.12

本書ではキリスト教処女懐胎を例に説明しています。心理療法家は説明できないものを説明できないまま受け止め、その背後にある情動に注目することで、解決へと至る道を患者と共にすることはできるのではないかと主張しています。あくまで「心の」現象なので、「事実」の現象として受け入れるかは別ということです。

ユングは説明できないものを「事実」として受け入れているという誤解が、オカルティックな扱いを受ける原因だと考えられます。彼自身が占星術師の家系の生まれだとか、錬金術にのめり込んだというエピソードもあるので、それも原因かなあとは思いますが。

 

人間の類型ータイプ論

ユングといえばタイプ論が有名。

まず、タイプを分けることは、ある個人の人格に接近するための方向づけを与える座標軸の設定であり、個人を分類するための分類箱を設定するものではないと強調したい。

ユング心理学入門』P.38

そういう傾向があるよね、程度に押さえ、無意味なレッテル貼りはしないこと。肝に命じます。

 

一般的態度、内向ー外向

ユングは人間には異なる二つの一般的態度があると考えます。内向的態度と外向的態度です。

  • 外向的とは:関心や興味が外界の事物やひとに向けられ、それらとの関係や依存によって特徴づけられている
  • 内向的とは:関心が内界の主観的要素に重きを置いている

ふつうはこれら両方の態度を共に持ち合わせています。そして新しい場面に入るときの行動によって、両者の相違が特徴的に出てくると説明が続きます。

外向型のひとはつねに適当に行動できるのに対し、内向型のひとはどこか、ぎこちない感じがつきまとう。

ユング心理学入門』P.42

内向型のひとは、当惑を感じ、こんなことをいっては笑われるかもしれぬと黙り、ときには、「こんなときは、にぎやかにしなければならない」などという考えにとらわれて、馬鹿げた行為をしてしまって、あとで一人後悔してみたりする。
ユング心理学入門』P.42
内向的な子供は、幼稚園や小学校の低学年で困難を感じることが多い。彼らは友人をつくりにくく、先生にもなじみにくい。ゆたかな才能を持っていても、それを伸び伸びと出すことができず、それはときに、変なものとさえ見られやすい(中略)大人たちがその性格を矯正しようと努めたり、異常であるときめつけたりすることによって、発達の過程を歪められる場合が多いように思われる
ユング心理学入門』P.42-43

内向的なひとが過度に自己批判的で、自信なさそうに見えながら、いったん思いこむと少々の障害にはたじろがない態度をとる

ユング心理学入門』P.43

共感できる内向型の説明を中心に引用してみました。逆に外向型のひとが異星人に思える。人間関係の適当ってどうやるのかわからない。

 

個人の素質による態度を逆転させると、はなはだしい疲労現象が現れ心の健康が害される

ユング心理学入門』P44

よく分かる!自分は内向型にかなり振り切れているタイプなのかな。外向的な能力を必要とされる場面はとても疲れます。

 

四つの心理機能

各個人はおのおの最も得意とする心理機能を持っているとユングは考えます。心理機能とは、種々異なった条件のもとにおいても、原則的には不変な、心の活動形式です。ユングはこれを四つの根本機能として以下のように区別して考えました。

  • 思考
  • 感情
  • 感覚
  • 直感
主機能と劣等機能

思考と感情、感覚と直感は対立関係にあります。思考機能の発達している人は感情機能が未発達であり、感情機能が発達している人は思考機能が未発達である。感覚と直感も同じ関係にあるとします。発達している機能を主機能、未分化な機能を劣等機能と呼びます。ただし未分化であるから弱いという意味ではないことに注意。わかりやすく書き換えるとこうなります。

  • 思考⇄感情
  • 感覚⇄直感

 

補助機能

例えば、直感が主機能の人が得たものを適切に獲得してゆくためには必ず思考か、感情機能による判断の助けを必要とします。もしそのひとにとって思考が主機能の次、第二次機能であるとすると、感情は第三次機能で、多分に未分化なものとなります。そして感覚は劣等機能として最も未分化なものとなります。この第二次機能を補助機能とします。

 

直感

四つの機能のうち、直感についておもしろく感じたので抜粋します。

これは事物そのものよりも、その背後にある可能性を知覚する機能である。その過程は無意識の道をたどって生じるので、どうしてそれが得られたのか、他人にもわからず、本人さえも説明に困るという厄介な性格をもっている。このため、直感型のひとが、その結論や推論や事物の観察によって得られたように思い込んでいる場合も多い。しかし、その説明をよく聞くと、先行した正しい結論に未分化な思考や観察があとでかぶせられているにすぎないことがわかる。

ユング心理学入門』P.55

論理的に考えるようにしているのですが、その根拠は直感だったりするのでしっくりくる説明でした。

 

八つのタイプ

ユングは内向・外向と四つの主機能を組み合わせ、ひとを八のタイプに分けることができると考えました。外向的感情型とか、内向的感覚型のように。

外向的思考型のひとは、自分の生活を知性の与える結論に従わせようと努めている。(中略)感情があまりにも抑圧されているときは、ときに本人の意識的な制御をこえて表面に現れることがある。たとえば、つねに論理的・合理的であることを誇りとする学者が、自分と正反対の学説に関しては、まったく感情的反発としか思われない言動をしたり(中略)一般に硬い外交的思考型のひとは、その例外を許さぬ態度や、息抜きとしての未分化な感情反応によって、家族を苦しめていることが多い。

ユング心理学入門』P.50-P51

私このタイプの人たくさん知ってる。自分は論理的に正しいと主張し、「女のくせに」って感情的に言ってくる男の人。

aoio-o.hateblo.jp

 

内向的直感型のひとも理解されがたく、外界に適応しがたいひとである。

ユング心理学入門』P.56

この型のひとは、 自分の内部の一種の独創性に悩まされているひとということができる。これは実際生活にはむしろ都合の悪いものだから、自分の本来の傾向を無視するため、無理に機械的・実際的なことをやろうとして、内的な摩擦のため神経症に陥っているひともある。

ユング心理学入門』P.57

これを読んで私はもしかして、内向的直感型なのではないだろうかと感じました。

 

外向型のひとにとって、内向型のひとは、わけのわからない冷淡な臆病者と見え、逆に後者は前者を、軽薄で自信過剰なひとと思う。

ユング心理学入門』P.60

内心ではよろこんだり、悲しんだりしているのに、冷たいってよく言われます。あと、大抵の人はどうしてそんなに自信があるんだって不思議で仕方がありません。

 

一般に男性の場合は、主機能によって生きようとの態度が強く、型がわかりやすいが、女性の場合は、鋭さよりも柔らかさが期待されるため、一つの機能が鋭角的に開発されていないことが多く、したがってその型もわかりにくいようである。

ユング心理学入門』P.60

心理療法の場合、劣等機能の開発をすぐに手がけるより、補助機能の発展に心がけるほうが適当な場合が多いが、事例によるとされます。

 

西洋と東洋の違い

「日本で、ユングの考えをそのまま適用できるか否か」については
一つの機能を発展させるよりは、たとえ未分化でも全体としてのまとまりをおう傾向や、得意なもの(主機能)を伸ばす楽しみよりは、不得手なものに注目して「苦行」しようとする生活態度などに結びついて、際立った型を見出しがたくしているようにも思われる

ユング心理学入門』P.62

ありゃ、私の人生「苦行」って言われちゃいました。でも分かる。自分でもどうしてこんなに向かないことにしがみついてしまうんだろう? と疑問に思うことがたくさんあります。でも、乗り越えたときに自信となるので、中毒になっちゃってるのかも。

 

 とりあえず途中までまとめてみた感想

なるほど、よくわからんというのが感想です。 まず、専門知識が足りなすぎます。それでも、タイプ論などは納得することが多くおもしろいです。このまとめではあえて触れませんでしたが、ユング心理療法の肝は夢の分析です。しかし、夢の分析に関してはこじつけに感じてしまい、なじめませんでした。

みんなそんなに都合がいい夢見るの?私が見る特徴的な夢といえば、ほとんどがトイレに行きたいけど行けないという夢です。当然、目が覚めたらトイレに行きたくなっています。あと、大学生のころに歯が抜ける夢を毎晩見ました。夢占いでは割と有名で、新しいことが起きる兆候とされています。しかし、親知らずを抜いたら見なくなりました。歯が痛かっただけです。

そんなわけで、全てをそのまま受け入れることは難しそうです。(2/2)へ続きます。

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最近のお笑いはおもしろくない? 『知のリテラシー文化』を読んで気がついたこと

家にはテレビがありません。特に信念があるわけではなく、引っ越した際に買わなかっただけでなんです。そのまま7年の月日が経過しましが、特に不自由は感じていません。

 

最近のテレビはおもしろくない?

そのため、テレビを見ることはほとんどありません。そして実家などで久しぶりにテレビを見たときに、不思議に思ったことがあります。それはおもしろくないということです。特に最近のお笑い芸人さんで笑えたことがありません。ふと世の中から置いていかれたような、不思議な気持ちになりました。これはテレビやお笑い芸人さんのレベルが落ちたということでしょうか? そこである仮説が思い浮かびました。

 

笑うためには「お約束」の知識が必要

それは、笑うためには「お約束」を学ぶことが必要だということです。吉本新喜劇で育った関西人なので、昔の吉本を例にします。基本、芸人さんによって善人・悪人・美男・美女・お笑い担当は分かれています。役柄を交代することはまれです。よってこの芸人さんが言っていることは正しい・悪い・カッコイイ・カワイイ・おもしろいことなんだということがすぐにわかるんですね。

あの人が出てきたら笑う。この流れなら笑う。定番のギャグを言ったら笑う。毎週見る中で自然と学んできたことです。テレビをほとんど見なくなった私は、今のテレビの「お約束」を学ぶ機会が無くなってしまったのではないかと思うのです。

 

 

『知のリテラシー文化』

 なんてことを考えていたときに出会ったのが『知のリテラシー文化』という本です。

 「リテラシー」とは「読み書き能力」のことをいい、拡大してものごとを読み解く力と解釈します。「文化」とは「ごくふつうのこと」を指します。
本書はマンガ、ファッション、映画、音楽、建築、写真、絵画、美術工芸品、食文化、スポーツなどの、日常生活の中に浸透している「文化」の「リテラシー」について解説した本です。

 

 

どうしてマンガが読めるの?

「今の日本の子どもは、歴史的にみても世界的にみても複雑な「文法」を持つマンガの読み方を、5、6才から小学校4年生くらいまでの間に、学習しおえてしまう」

『知のリテラシー文化』

よく考えればすごいことですよね。文字ばかりの本を読むのが苦手でも、マンガなら読めるという人は多いのではないでしょうか。ちなみに、子どもがマンガを読めるようになるのは、知育雑誌が多大に貢献しているそうです。小学◯年生みたいなやつですね。

マンガにも「お約束」があります。たとえば「音喩」についてです。「音喩」とは従来の擬音語や擬態語の範疇に収まらない、マンガ特有の効果音のことです。有名なのは静かな状態を表す「シーン」ですね。実際に「シーン」と鳴っているわけはないのですが、私たちはそれを静寂と理解します。これはマンガの「リテラシー」を身につけているからできることです。



映画のカメラ目線問題

通常、リアリティーを追求する映画の画面で、カメラ目線はありえません。しかしミュージカル映画ではカメラ目線を多用することは珍しくありません。これも「お約束」ですね。あるジャンルでは禁止されている手法が、特定のジャンルでは許容されているという場合もあります。

 

「へー、その音楽好きなんだ」

個人の音楽的な好みの問題は、その好みを強調することで、他者との関係を規定し、自分の社会的な位置を確認することにもつながります。

『知のリテラシー文化』P.77

個人が趣味・趣向を通じて、ある特定の文化的、あるいは芸術的作品に正当性を認めたり、価値をおくことは象徴的闘争だ

ピエール・プルデュー『ディスクタンクシオン1・2』より
『知のリテラシー文化』P.77

 

 

思い当たることはありませんか? 

自分の趣味・趣向を通じて、他人との違いを見出し、自分を引き立たせることで、他人よりも優越した立場になろうと卓越化・差別化をはかろうとしているということなのです。

『知のリテラシー文化』P.77

文化的な正当性を強調することで支配的な階層秩序を保とうとする。

 『知のリテラシー文化』P.77

マイナーな曲を聴いている方が、趣味がいい、偉いみたいな風潮。メジャーな音楽を聴いている人に対するマウンティング。こんな心理的背景があったんだとおもしろく思いました。

 

 ちょっと長いのですが、本書で特に感銘を受けた文章を引用します。

自分の感動した音楽体験を誰かに伝えたいのに、「言葉では説明できない」、その感動を言語化できない、というもどかしさを覚えた経験があるでしょう。バルトは、音楽が言葉では語りえないところにこそ、価値があるとしたのです。私たちの生きる世界は言語によって分節化され、言語活動によって支えられています。しかし、音楽という形式が、この言葉で分節化された世界や言葉による意味作用を飛び越えて、直接私たちの身体に意味変化を生じさせる。これこそが音楽の美的体験であり、音楽を聞くことの感動や悦びであるあるというのです。
くわえてバルトは音楽的快楽に関係するのは与えられた意味ではなく、意味を作っていくこと、つまり意味形成の働きだといっています。私たちの音楽への喜ばしき反応は、意味自体に対する反応ではなく意味を作ることに対する反応だとします。

『知のリテラシー文化』P.81

音楽に対して持っている「言葉では説明できない」感覚の説明として、とてもしっくりきました。音楽だけではなく、様々な芸術作品や、自然の美しさ、人の優しさなどに触れたときの「言葉では説明できない」感覚もこのように言語化できないかなあと考えています。

 

写真とは視界の「フレーミング

Instagramのキラキラ女子はこの「フレーミング」が上手いイメージがあります。フレームの外にあるものもイメージできれば視野が広がりそう。

「公権力によるメディア・フレームのコントロール」という言葉にハッとしました。ニュースでもありますよね、悪意のある切り取り方をしたタイトルとか。

 

絵画と無意識の関係

シュルレアリスム=「心の純粋なオートマティスム(自動現象)」という表現に興味を持ちました。シュルレアリスムの出発点は自動記述の実験でした。自動記述とは、「熟考せず、スピードにのって自分の意識に浮かぶものを機械的に書くという方法」だそうです。これは自由連想法というフロイトの治療法からヒントを得たものなんですって。

これ、モーニング・ページにそっくり! とおどろきました。

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シュルレアリスムフロイトの無意識の理論をはじめとする、当時の精神医学や精神分析への関心と芸術や文学についての思索が結びついて生まれたものなのだそうです。ちょうど今、心理学の本を読んでいるので、とてもわかりやすい。

対して、記号表現(意味するものシニフィアン)/記号内容(意味されるものシニフィエ)という内容が出てくるのですが、さっぱり理解できませんでした。これは私が記号論の「リテラシー」を持っていないからですね。これから勉強します。

 

食文化と健康

本書では、「健康」とは非常に曖昧な概念であることを指摘しています。米飯=日本人主食という考えも、古くからあるわけではないというのが意外でした。確かに、日本人全員が白米を食べられるようになったのって、そんなに古い話じゃないですよね。

義母がいわゆる自然派の人なんですね。自然=正しい。玄米=病気が治る。みたいな考えの人で。対して夫はいわゆる研究職なので、義母の情報は正確な実験データがないと言い喧嘩になるんです。これは「リテラシー」格差から起きる断絶ですかね。

 

『知のリテラシー文化』を読んで

大学の教科書として利用されることを想定して書かれた本です。どこの学部で学ぶ内容なのかな? 文学部? 社会学部? 私はこのような、記号論的な分野には疎いので、本書の内容はむずかしく感じました。まさに「リテラシー」がない状態ですね。でもおもしろかったので、これから勉強していきたいと思います。

そして私が立てた「お約束」がないから理解ができないのではないかという仮説が、「リテラシー」という言葉で説明されていて、スッキリしました。

 

リテラシー」格差

貧富の差が話題になってきていますが、これからは「リテラシー」の差も大きな問題になりそうですね。私はtwitterが好きでよく見ていますが、「リテラシー」に差がある人同士でまったく話がかみ合っていない状況をよく見かけます。「IQが20違うと会話が通じない」なんて話も聞きますが、それ以外にも共通する「文化」の「リテラシー」も必要ということですね。

私が英語を学ぶのも、単に言語を学びたいんじゃないんです。海外の文化を知りてたくて、でも文化というのは言語抜きには理解できないから学んでいるんです。まさに読み書きの意味の「リテラシー」と、「文化」を読み解く「リテラシー」の両方を身に付けたいと思っています。

 

これからの「リテラシー

最近思うのが、昔のように「みんなが知っている」ものが減ってきたのではないかということです。インターネットで各自の好みに特化した情報が手に入るようになっている一方、興味がない情報に触れる機会が減っているように思えます。私が子どもの頃の情報源といえば、テレビか新聞、雑誌だけでした。なのでいつもテレビに出ている人、新聞や雑誌に載っている話はみんなの共通の話題だったんですね。あ、ラジオを聴いていると通なんだみたいな風潮は、まさに「象徴的闘争」ですね。

これからはある分野の「リテラシー」は高いけど、別の分野の「リテラシー」は低い人というのもたくさん出てきそうだなあと思います。実際、ある分野では権威あるプロが、専門外ではおかしなことを言ってしまうなんて現象は見たことがあります。そうなると、もっと広い視野の「リテラシー」を学ぶ必要があるのかななんて考えています。

 

Streaming+で『THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE』Program Bの千穐楽公演を観ました

再びStreaming+にお世話になりました。前回の Program A に続き Program Bを視聴しました。

 

THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE

今回視聴した作品はこちらです。出演者が異なるProgram A〜Cの3パターンが予定されています。www.tohostage.com

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Program B 出演者

MC以外はあいうえお順、敬称略です。

 

Program A との違い

MCは山崎育三郎さんに交代、その他のメインキャストは12名でした。前回は13名だったので、減ってるんですね。同じ曲でも歌う人が違うので、異なる印象で楽しめました。

 

印象に残った出演者と演目

もし『エリザベート』の再演があったら、山崎さんで観たいなあ。田代さんとの『闇が広がる』を観てそう思いました。どの俳優さんも魅力がありますが、歌に迫力がある人っていいなと思います。

朝夏さんは何度見ても手の長さにおどろきます。タカラヅカで見慣れてると思ったのに、またびっくりしてしまいました。『シスター・アクト』でつけてる大きなリボンがかわいかった。

涼風さんがね、妖怪なんて自称されていましたが、今でも妖精ですね。50代だったっけと思って調べたら来月60歳になられるんですね。どうしたらあの澄んだ高音をキープできるんだろう。『私だけに』が素敵でした。あらためて男役時代の写真を見ていたんですが、本当に少女漫画から出てきたみたいですね。もしくはリアル・リボンの騎士

そして平原さん。歌手の方なので、ミュージカル歌唱とはまた違った種類の力強さがありますね。トークにて、マイペースでおもしろい方だと初めて知りました。

 

「今日は帝劇、明日は三越

そういえばスクリーンに映っている、「今日は帝劇、明日は三越」という言葉で思い出したことがあります。戦中生まれの祖母が子どものころ、大阪歌舞伎座から北浜の三越までタクシーで乗り付けたって言ってたんですよ。当時の物価ってよくわからないのですが、結構なお金持ちだったと聞いています。声楽の短期大学を出ているのでお嬢様だったんですよね。涼風さんの歌声が、祖母に似ているんです。懐かしくなりました。

あ、まだ存命です。新型コロナをうつしたくないので、最近会っていないんですよ。私おばあちゃんっ子なので、めちゃくちゃさみしいです。会ったらまたこの話、詳しく聞いてみよう。

 

次は Program C !

次はProgram C を観ます。大千穐楽ですね。無事に終わって欲しい。平日の昼間だからひとりでゆっくり楽しめる! こんなときは無職サイコーってなります。