やっぱりプロはすごい。『校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術』を読んだ
引き続き日本語の勉強中です。
『校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術』
「あらゆるミスを見逃さない」という言葉に惹かれて読んでみました。演習として提示される
洋数字と漢数字の使いわけ
ほかの数字に置き換えられないような言葉は漢数字で書いて、ひとまとまりの語句であることを表します。
『校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術』P.72
これはわかりやすい説明。横書きの場合は洋数字にした方がいいか悩むんです。読んだ人が違和感を持たないようにすることが大事なのだそうです。
他の仕事にも役立つチェック方法
「流れを読む」
「読まずに、一字一句、指で押さえて見る」
「片仮名だけ見る」
「数字だけ見る」
と、幾通りものチェックの仕方をします。見方を変えて見ると、別の違和感が生じて手と目が止まることもあるからです。『校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術』P.80
前職で実行していた文章や伝票のチェックととほぼ同じ方法なのでおどろきました。片仮名だけ見るは固有名詞・単位だけ見るでしたが、どんな仕事でも応用できるんじゃないでしょうか。私の場合、一字一句見るときは、後ろからチェックしていました。
知らなかった言葉の使いわけ
- 牛の脂は「ヘット」。「ラード」は豚の脂にしか使えないんですね。
- 餅をつくる米は「もち」米。漢字では「糯」であって餅ではない
- 食べられるのは海藻で、食べられないのは海草
勉強になりますね。
さいとうさん、ごめんなさい
- 齋の新字は斎
- 齊の新字は斉
なのだと初めて知りませんでした!みんな知ってるの?全部斉で書いていたかも。
全国の齋藤さんと齊藤さんごめんなさい!
でも取引先の齋藤さんは自分で斉藤って書いてたな。
全国のさいとうさんに謝罪します。
使っている人が多ければ正しいの?
使っている人が多ければ正しいのか?という問題については再び「雨模様」が登場しました。
「割り振られて役に不満をもつこと、役割が実力に比べて軽いこと」が本来の意味
『校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術』P.135
としています。田中芳樹さんの小説で覚えたなあ。でも諸説あるとも聞いたし、日本語はやっぱり難しい。『創竜伝』、今は講談社文庫版がないのか。
「ヶ」は片仮名ではなく記号
東京メトロの駅名、霞ヶ関の「ヶ」は片仮名ではなく、記号なんですね。でも地名は霞が関で平仮名の「が」。ややこしい。
「ら抜き言葉」に関して
「『ああ、変わってきたのか』とは思うが、乱れているとは思わない」
『校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術』 p.202
私も「ら抜き言葉」は使います。でも「さ入れ言葉」は気持ち悪いんだよなあ。前職でなんでも「ささせていただく」人がいて、気になって仕方がなかったんですよ。
校閲とAI
AIに関しても少し触れられていますが、結局はAIがした仕事をチェックする仕事があるんですよねえ。私は日本語の仕事がAIに置き換わるには、かなり時間がかかるのではないかと思っています。
「正しい日本語」はあるけど、ない。
「正しい日本語」といっても、何が正しいかという決定的な規範を示すことは難しく、しかも言葉は移り変わっていくものです。しかし、その中であがきつつ可否を判断したり、基準を設けたりするのもまた人です。
『校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術』P.220
結局はここに行き着くんですよね。やっぱり日本語ムズカシイね。